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特別講義~ビハーラ十条の方をお迎えして(前編)~

2010年 10月14日スクールライフ

先週に引き続き、今週もビハーラ十条の方にお越しいただき、特別講義を開講しました。
今週は1年生の授業です。

11月から介護実習へ行く1年生。
実際の現場を知らない学生がほとんどです。
そんな不安や緊張いっぱいの気持ちを、少しでも和らげていただける講義でした。

お越しいただいたのはビハーラ十条の石井施設長と広報・人事担当の武末さんです。
実習へ行った時に、理想と現実のギャップで驚かなくてすむようにと、
現場のリアルなお話、職員さん達の本音など、あえて学生達に伝えて下さいました。
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ビハーラ十条は特別養護老人ホーム。
認知証を患っておられる利用者さんもおられます。
となると、施設内では大きな叫び声が聞こえてきたりすることもあります。
認知証の方は、同じことを繰り返して話されたりもしますが、
感情、いわゆる喜怒哀楽はあるのです。
ただ、それを言葉にできないだけ。
なので、叫んだりすることにも、その人の意図があってのことです。
できるだけ、その意図をくみ取っていくコミュニケーションが必要ですね。

施設に入所されている方が、1日に1人きりで過ごす時間が15時間だということも教えて下さいました。
あとは睡眠時間が約6時間。
介護職員等と関わる時間は1日に2~3時間。
その貴重な時間に、ただ生活を支えるだけの介護ではなく、常に個人の気持ちを気に掛ける
「個別ケア」を行えるのが、介護福祉士だということです。

現在、広報・人事を担当されている武末さん。
介護職員として勤務されていた頃のお話をして下さいました。


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当時受け持ちをされていた利用者Tさん。
最初は、その方とコミュニケーションをとることが困難だったそうですが、
毎日声を掛け続けていくうちに「あんたは買い物に連れて行ってくれるんか?」と
初めて返事をしてくれたそうです。
Tさんはとても買い物が大好きだったのです。
その事を知った武末さんは、一緒に買い物へ出かける計画を立て、Tさんの希望するお店へでかけたそうです。
そして、毎週1回は買い物へでかけ続けました。
こういった企画というのは、継続することがとても大切です。
継続することで、Tさんのストレスが解消されたのか、今まで食べられなかった食べ物も食べられるようになられたそうです。
そしてある日、Tさんが、ご自分の息子さんの話を涙ながらに語って下さった時、
“本当に心を開いて下さった”と思われたそうです。

武末さんとTさんが一緒に写っている笑顔の写真が、とても印象的でした。

人と人との関わりを大切に、いつも利用者さん1人ひとりの気持ちを尊重し、
そのひとらしい生活が送れるような支援をする。それが大切なんですね。

1年生は、初めての実習。
まだまだこれだけの関わりを持てるはずはありません。
でも、現場のプロがどのように利用者さんと接しているか、しっかりと見てきて欲しいと思います。
そして、最低限のマナーを守り、対職員・対利用者(利用者の家族)の立場を考えながら
実習に挑んでもらいたいと思います。
きっと将来、「あぁ初めての実習はこんなんだったなぁ」と懐かしく思う日がくるでしょう。